中国にて
20年ほど前、中国の深圳に行ったことがあります。
検問所では、列を整理するための鉄柵が人に押されてギシギシと音を立てています。
係の人に聞いたところ、1年間に延べ4000万人もがここを往来するといいます。
「こらっ、お前たち。とっとと消え失せろ」。
警官が怒鳴りました。
15~16歳の少年たちが許可書を持たずに通り抜けようとしたのです。
通路の脇では農民ふうの男が3人、警官に一生懸命に何か説明をしています。
聞けば、深馴で働いていた彼らの親戚が交通事故で急死したのだそうです。
その弔いに行きたいので、特別に許可書なしで入れてくれるように頼んでいるのだといいます。
しかし、警官は彼らの申し出をあっさりと断りました。
突然、警官が何か大声で叫びます。
・・・すると、深圳側にいた2人の警官が素早く男の両腕を押さえて取り調べ室へ連行したのです。
いったい何が起きたのかわからなかった私たちはすぐさま後を追いました。
「これはニセモノだ。お前が偽造したのか?」
厳しい口調で調書が男に迫っていました。